結局、JASRACに有利すぎるルールが問題だと思う。

昨日の日記の補足です。
まず、俺は現状のようになJASRACの取り締まり方に危惧を持っています。
JASRACの問題は色々な側面があると思うのですが*1昨日の続きなので、ここではライブハウス等への取り締まりに焦点を絞ります。
単純にJASRACを悪者に仕立て上げるつもりはありません。普通の人が普通に仕事して社会に対して不利益を与えるならそれは仕組みの方がおかしいと思うからです。

楽家の層を厚くするためにはみんなが知っているスタンダード曲の存在はありがたいものだと思います。たとえばあるバンドが初めてのライブでいきなり全曲をオリジナル曲を用意するのは難しいでしょうし、そのバンドに初めて接する客も知らない曲ばかりでは取っ付きにくい印象を与えてしまうと思います。著作権を全く無視しようという訳ではなくルールが現実に即してないことが問題かと思います。

この件についてヒントになるような事例が音楽とは別の世界でありました。
ドラえもんの最終話の同人誌を著作権侵害で訴えた事件です。(参考)。リンク先によれば通常、数百部くらいで上等とされる同人誌の世界で一万部以上のヒットを飛ばして問題視されたようです。確かに一万部なら正規の流通ルートに乗ってもおかしくない規模なので線引きとしては現実的でしょう。出版者が数百部の同人誌は見逃し、一万部を超える同人誌を見逃さなかったのは純粋にそうすることが彼らの利益に適うと判断したからでしょう。同人誌作家は将来の職業漫画家の層であるから潰せないという側面もあるでしょうが、いちいち数百部規模の同人誌から著作権料を徴収していては割が合わないですし、圧倒的に二次創作の比率が高かったとしてもオリジナルの同人誌が存在する以上まとめて同人誌市場を潰すことはできないでしょう。

翻ってJASRAC著作権料を徴収することに対してのコストが安すぎます。JASRAC側は一括して著作権料を徴収するので演奏の内容を調査する必要がありませんし、著作権者との調整も必要ありません。また徴収額が売り上げと比例しないため売り上げより著作権料の方が大きいという事態が頻繁に発生します。これでは事務コストと徴収額を天秤にかける必要がないので、職員が真面目に仕事をすればするほど、ひずみが大きくなってしまいます。繰り返しますが普通の人が普通に仕事をして不都合が発生するのは制度に不都合があるということです。

長くなってしまいましたが結論はシンプルです。JASRACが理不尽に見える取り立てをすれば彼らが損をするような仕組みを作ればいいのです。
具体的には、著作権料は売り上げとがある程度比例するようにすること。実際に演奏されたかを確認するコストをJASRACに核にさせることです。こうすれば彼らが利益を追求しようとするなら結果として理不尽な取り立てをしなくなるようになるはずです。

*1:著作権料の分配の不透明さとか、出版権とか原盤券のわかりにくさとか