夢の科学
夢の科学―そのとき脳は何をしているのか? (ブルーバックス)
- 作者: アラン・ホブソン,冬樹純子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/12/21
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
この本は夢を生理学的な立場から、様々な夢についての話題を説明してくれます。裏表紙には『フロイトは間違っている』とでかでかと書かれているけど、フロイト批判に終始している本ではありません。まあ、こう書かれるのもフロイトの偉大さともいえましょう*1。
この本の重要なポイントは、夢に科学の手法を用いるには夢の『内容』ではなく『形』に注目する方がうまくということ。どういうことかというと「夢を見るときに脳の活性化され方が違っているので、それに対応して意識の状態も変わっている」ということです*2。例えば、夢の内容に本能(セックスを暗示するもの、逃走など)に関わる物が多いのはフロイトの説だと抑圧された無意識により引き起こされるからとなるが、この説だと、こういう夢を見ているとき(レム睡眠中とか)本能を司る大脳辺縁系が選択的に活性化されているからとなります。
シンプルですがエレガントな学説だと思います。ただ活性化はこれでいいとして合成の部分は判っていないことが多いみたいです。今後の研究の動向が気になります。
とにかく一般向けに書かれているので通勤時間にさくさく読めて、それていて内容もしっかりしているっぽいのでお勧めです。
さてそのほかにも気になったところがあるのでちょこっとピックアップすると
- 鬱病になりやすいひとはレム睡眠はいりやすい。逆にレム睡眠にレム睡眠に入りやすい人は鬱病になりやすい。(p149)
- 「睡眠中のレム睡眠の割合」と「手続き記憶*3の学習の成績」とには正の相関がある。(p171-174)
この二つを並べるのはちょっと恣意的かもですが、結構気になるところ。。。